クラフトビール醸造日記

美味いってなんだろ

コスパ最強!?醸造設備の初期費用を圧倒的に抑える石見式を紹介!

今日は、西日本を中心に多くの醸造所が取り入れている

石見式について少し話をしようと思います。

 

 

 

石見式とは

石見式ってなに?という方に軽く説明すると

チェストフリーザーと呼ばれる冷凍庫を発酵タンクの代わりにすることで

発酵タンクの導入コストを抑えた設備のことである。

石見式チェストフリーザー

この冷凍庫の中に大きなビニール袋を入れてその中に麦汁を入れる。

口は洗濯ばさみで縛って発酵タンク完成!

 

という割とお粗末な設備である。

 

美味しいビールは作れるの?

こんな設備で果たして美味いビールが

作れるのかという疑問だが

 

可能ではある。

 

というのが自分の見解だ。

実際国内のビールコンテストでも賞を受賞していたり

美味しいビールも存在する。

 

ではなぜここまで石見式がディスられているのか

という疑問だが、石見式にはかなり多くのデメリットが存在する。

 

石見式のデメリット

 

・酸化リスクが非常に高い

 

あくまでビニール袋のため空気や水蒸気が透過してしまう。

そのため、酸化は確実に起こると考えた方が良い。

 

(発酵中はガスが放出されているため

そこまで気にする必要はないのかなと思うが

冷却時は負圧になるため、冷却における酸化は必至だと考える)

 

・汚染リスクが非常に高い

 

ビニール袋を洗濯ばさみで挟むだけの設備のため

口の部分から簡単に外気が入るため、コンタミリスクが常にある。

 

・製造量が限られる

 

石見式のタンクはマックス容量が150Lのため

どうしても多くのビールを作ることができない。

 

石見式は経営モデルが小規模醸造所向けの設備のため

外販を行っていきたい醸造所にはオススメできない。

 

・人件費がかかる

 

一回の醸造で150Lまでしか仕込めないため

1人当たりの製造量も当然少なくなる。

 

また石見式は発酵終了後

コールドクラッシュ(麦汁を冷却して酵母を沈殿させる工程)を行い

コーネリアスケグと呼ばれる20Lのケグに移送して貯酒という流れだが

この移送普通のタンクと比較して手間がかかる。

 

これにより作業工数も増え、人件費が余計にかかる。

 

・映えない

 

これはとても大切なことだが、

醸造所を作るとテレビや雑誌の取材がきて

醸造所の写真を撮りたいと言われる。

 

ステンレスのタンクは工場感がありとてもカッコよいが、

石見式は業務用冷凍庫内にビニール袋が入っており

食品こんな感じで扱って良いの?(笑)

って位見栄えが悪い。

 

知り合いの醸造所なんかは石見式であることを伏せている位

あまり良い設備とは言えない。

 

このように石見式導入にはかなりデメリットが多く

余程の事情がない限りはオススメできない。

 

我が醸造所のビールもコンテストを受賞することができ

クオリティーもそれなりにはあると思うが

やはり普通のコニカルタンクで作ったビールの方が雑味が少なく

美味しいと思う。

 

石見式のメリット

石見式のネガキャンをしすぎたと思うため

最後に石見式のメリットにについても一応記載してみる。

 

・導入コストが安い

 

これは言わずもがなだと思うが、とにかく安い。

あのタンクが一台数万円程度のため

初期費用にお金をかけずに、小規模でひっそりとやっていく場合には

石見式もありなのかなとは思う。

 

・タンクCIPが必要ない

 

CIPとはタンクや醸造設備をアルカリと酸で洗浄する工程で

普通のタンクなどでは行わなければならない。

 

そしてこの洗浄が意外と時間がかかる。

 

石見式の場合袋を新品に変えるだけで良いため

タンクのCIPは必要ない。

 

正直ここら辺が石見式のメリットかなと考えられる。

 

石見式を検討されている方は是非参考にして頂いて

質問などありましたらお気軽にコメントお待ちしています!!